出会い系サイトのボッタクリについて |
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長く出会い系サイトを使っていると、妙に話が早く、食事の約束が簡単にできてしまう女子がいます。稀に、本当に会いたいと思ってくれていて、ちょうど暇だったという人もいるので、見分けるのが難しいのですが、繁華街で飲みたいと言ってくるうちのかなりの割合が、いわゆるボッタクリと言って、間違いありません。
ただし、このボッタクリ、よく想像されるような、最後のお会計のときにとんでもない金額を請求されて、とても払えない、というトラブルになるようなものではありません。そういった被害があると、お店も問題になってしまいますので、大事にならないギリギリの線をついてくるという巧妙さがあります。
たとえば、女の子に「ここがいい」と連れて行かれたバー。メニューをよく見ると、相場よりもやや高めのテーブルチャージが小さい文字で書かれています。そして、女の子は敢えてメニューで一番高いカクテルばかりを注文する。きちんと書かれているものですので、「聞いてない」と後から言いにくい状況を作り、お会計を積み上げていくのです。
最終的に、ずいぶん高くついたな、と思うものの、あからさまなボッタクリとまでは言えず、なんとなく印象が悪いまま終わる次第。
なんでそんなお店が存在し、女の子がそこに行きたがるのかと言うと、実は女の子とお店は裏で繋がっていて、割高な代金のうちいくらかを、あとでお店からもらっているという仕組みがあるからです。
「とんでもない話だ」と思われるかもしれませんが、海外旅行の際に、旅行会社が提携しているお土産屋さんに客を連れて行き、高めの値段設定の商品をたくさん買わせ、あとでお店からリベートをもらうのと、構図としては同じ。「買わない」という選択肢は客側にあるので、騙されたとも言いにくいような。今回取り上げるボッタクリ店も、自分が同意してお店に入り、実際にお酒を飲んでいるわけですから、完全に詐欺であると訴えるのも難しいのでしょう。
何より、女の子とお店が連携していることを証明するのは、個人ではほとんど不可能ですし。
さて、過去にぼくが女の子の勧めに従って、面白半分でついていったお店は、ブランデーか何かを使ったカクテルが1杯2,000円くらい。チャージはいくらだったか忘れましたけど、まぁまぁ高かった。おつまみを注文すると、けっこういい値段するのに、その辺の安いスーパーで買ったものをそのまま出してくるような感じで、原価率は10%以下じゃないか。当たり前のように、普通のお客さんは入ってきません。
女の子は待ち合わせてすぐ、ご丁寧に「昨日、財布を盗まれちゃって、現金持ってないんですよ」と言ってきて、要は「お前が払えよ」というメッセージを送ってきます。クレジットカード? そんなもの使えません。信販会社といちいち契約していないんでしょう。ニコニコ現金払い専門です。
わざとらしく、「あー、こんなに現金持ってないなぁ」と言うと、女の子は知らない顔。店員さんは慣れたもので、一緒に近くのコンビニのATMまでついてきて、お金を回収します。
ちょっとおもしろかったのは、「領収書ください」と言うと、急に慌て始めたこと。要求する客がいない、と言うよりも客自体がいない。一応、全く使われている形跡のない領収書の用紙は出てきましたが、上の方の人に聞きながら、中身を埋めるのにも四苦八苦。更に、もらった領収書には押印がされていませんでした。これはきっと、申告もしてないんだろうな。
「タップル誕生」で同じ手口に遭遇! |
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こういった被害は、「すぐに会いたい」下心を持った男性を釣るのが手っ取り早いので、基本的には出会い系サイトに多く見られ、ある程度時間をかけてコミュニケーションを取り、行きたいお店をふたりで考えるようなマッチングアプリでは、聞いたことがありませんでした。
ところが、今回ぼくが遭遇したのは「タップル誕生」。ご存知サイバーエージェントが展開する有名マッチングアプリであります。
この「タップル誕生」というサービス、宣伝効果でとにかくユーザーが多いのと「いいかも」カードを乱発するため、うまくマッチを成立させるのは大変。数千枚のカードをひたすらスワイプしていくのも、指が疲れます。
そんなとき、最短経路で女性ユーザーにアピールし、うまくいけばすぐにごはんでも、というのが「おでかけ」機能。まず、女性が希望の場所と内容を投稿し、それを見た男性がメッセージを送信。女性がOK出せば続きのメッセージを送れる画面が登場し、日程調整に進む、というものです。男性は、1日5名までメッセージを送れるのに加え、おすすめユーザーや無制限送り放題の時間帯なども活用すると、なんだかんだかなりの数の女性にアプローチできることになり、女性側はきっと追いつかないんでしょうが、ただ「いいかも」するだけではなく、最初からメッセージつきで好意を伝えられるのは便利。
そんな便利な「おでかけ」に、ボッタクリの標的を探す女性が潜んでいました。二十代前半で、新宿のアパレルで働いているという女の子。「今夜、仕事が終わってからなら」というお返事が届いて、夜6時半に東口の某ブランド店付近で待ち合わせすることになりました。
仕事の関係でちょっと遅れてきたのは、許容範囲。見た目もそんなに悪くなく、ちゃんとコミュニケーションを取れる会話の能力も安心。と思っていたら、雲行きが怪しくなってきました。
どこのお店に行こうか、週末だから混んでるかもしれないということで、事前にいくつか居酒屋やバーの候補を挙げて送っていたのを、あちらは完全に無視。ただ、仕事中できちんと見られていないのかな、という可能性もあって、集合してから確認しようと考えていたのでした。
仕事帰りだよね? おなかすいたでしょ。さっき送ったどれかでいい?
うーん、食べたばっかりでおなかはすいてないんだよね。あと、居酒屋行きたくないし。バーでちょっとお酒飲む感じかと思ってた。
(なんで仕事上がりでまっすぐ来たのに、「おなかすいてない」ってことになるんだろう?)
でも、とりあえず歌舞伎町方面だね。
大久保の方に行って、適当なバーに入ればいいかなって思って。歌舞伎町の奥まで行けば、人も少ないしね。
ここをまっすぐ進めば職安通り。韓国料理を出すお店が多い地域ですが、そんな中にもお酒を飲めるところのひとつやふたつあるでしょう。
ぼくはおなかも空いてるし、そっちの通り(=区役所通り)の候補のお店のどれか行きたいんだけど、いい?
あの通りは行きたくないんだよね。知ってるキャッチが多いからさ。ずっと新宿で暮らしてて、知り合い多いんだけど、男と歩いてるとこ見つかりたくないでしょ?
まぁ、そうだね。じゃ、このまま大久保方面に進もうか。
このあたりは怪しいお店も多いし、あんまり入りたい雰囲気でもないし。
そんなに危なくないよ。事件があれば、どこのケツ持ちだって話になるじゃん。ちゃんとしてるところばっかりだよ。
あ、ここは?
ホストクラブ密集地帯を抜ける手前で突然立ち止まり、入ろうとしたのは、いかにも夜のお店がたくさん入っている雑居ビル。外の看板を見ると、店名すら貼っていない店舗が多いようで、ガラガラなのか、それとも名前を出したくないお店ばかりなのか、判断つきません。
「お、これはボッタクリのパターンだな」と直感し、ビルの前で一旦停止。
あ、ここ入ったことあるかも。なんてお店だっけな。ちょっと待って。写真撮ってるから調べる。
そうなの? ここは知り合いが経営してるお店だから、大丈夫だよ。
うーん、でもごはん食べたいしなぁ。ここはきっとフードあんまりないでしょ。
お酒だけ飲んででくれればいいから、やっぱり最初に考えてたお店行こ。
居酒屋とか、人が多いところ行きたくないんだよね。
どうする、今日はやめとく?
そうだねぇ、方向性が合わないから、それでもいいね。
店舗ロッカーの鍵を間違って持ってきてしまったので、返さなければいけないといい、離脱することになりました。
そんな都合のいい話あるか、と思いましたが、すぐに戻るからどこかでごはん食べててと言われ、知っている(ひとりだったら行くつもりだった)バーを待ち合わせ場所に指定して、解散。
もちろん、その後、彼女からの連絡はありませんでした。
話があまりにもうまいので、どうせこんなことだろうと思っていましたが、「タップル誕生」も信用できないものですね。
未だ、アプリのメッセージ画面にはしっかり残っているので、通報しておくべきか迷っています。したところで、アカウント作り直されたら意味ないですけど。
これを読んでいる方も、どうぞうまい話にいはご注意ください。